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温室の作り方! 温室設計のポイント!

温室設計のポイント!


温室??  と聞きなじみのない方もいらっしゃると思いますが、弊社で手掛けた物件の写真も交えて分かりやすくお話します。



温室とは!?


 温室とは食物の栽培に適した生育環境を作り出す建築です。室温を高く保ち食物を栽培するのために使われますが、使用する目的によって規模・構造、形状、設備などが異なり多種多様です。温室の種類や必要となる主な設備についてご説明していきます。


温室の構造は、大きく分けて3種類あります。



①    パイプハウス

一般的にビニールハウスと呼ばれているもので、単管パイプの骨組みにフィルム材をパッカー留めして被覆したものです。



②    軽量鉄骨製の大型ハウス

(引用:株式会社大仙「温室総合カタログ」https://www.daisen.co.jp/catalog/greenhouse/sougou.html#page/8)


軽量鉄骨で骨組みを組み、ビニールシートや耐候性フィルムで被覆したものです。



③    鉄骨製のガラス温室

鉄骨で骨組みを組みガラスで壁・屋根を被覆したものです。

これらは、温室の使用用途や規模によって選択されます。


どのタイプの温室の工法を採用するかの判断は建築基準法が大きく関わってきます。


実は農産物栽培用の温室は建築基準法上の「建築物」ではありません。よく畑に立っているパイプハウス(ビニールハウス)は建築確認申請をせずに建てることができます。


 ただし、農業用であることが前提のため、使用方法や建設地によっては「建築物」になってしまい建築基準法の制限がかかりますので注意が必要です。



例えば以下の場合は建築物として扱われます。

・建設地の地目が「農地」ではない場合

・床に土間コンクリートを打つなど直接土壌で栽培をしない場合

・農作物の栽培以外の用途に使用する場合(倉庫や車両の格納庫)

・不特定多数の人物が使用する場合(観光農園やいちご狩りを行う温室など)


また、ガラスで被覆をしたものについては建築物として扱われることがあります。

(ビニールなど取外しが自由で容易にできる被覆材の場合は建築物として扱われないことが多いです。)

この判断は建築確認を行う建築主事によって異なるケースがあるため、温室を設置する際には建設地の管轄の特定行政庁の建築主事に確認が必要です。




よってまとめますと

・農業用の温室でフィルム系を被覆(小規模) ➡ ①パイプハウス

・農業用の温室でフィルム系を被覆(中規模) ➡ ②軽量鉄骨製の大型ハウス

・農業用の温室でガラスを被覆➡③鉄骨製のガラス温室(※建築物のため建築確認が通る構造)

・農業用以外の温室➡③鉄骨製のガラス温室(※建築物のため建築確認が通る構造)


が採用されることが多いです。


※印については面積規模によって必要な構造が変わりますので、必ずしも鉄骨造である必要はありません。小規模であればパイプハウスや軽量鉄骨でも可能です。



つづいて温室の設備を紹介していきます。


■換気装置

 温室内の空気の入れ替えのための換気設備です。


□側窓

側面に開口部を設けて開閉し、空気の入替・通風の確保を行います。フィルムの場合は巻上げて開閉し、ガラスの場合はサッシで窓を作り原動機で開閉することが多いです。写真は片引きのガラス窓にした物件で、原動機でタイロッドを引っ張ることにより換気窓がスライドし開閉します。



□天窓

屋根面に窓を設けます。電動による跳ね上げ式の天窓で手動開閉できるものもありますが原動機で自動開閉するものが多いです。暖かい空気は上部に滞留するため、屋根面に換気窓を設けると換気効率が良くなります。



□換気扇

換気扇で室内の空気を入替えます。室外から空気を取り入れる給気扇と、室内の空気を排出する排気扇の2つをセットで設けて強制的に空気を入替えます。晴れていて気温は高いが風が強く換気窓を開けられない等の状況で換気をしたい場合に必要になります。



□循環扇

(引用:農林⽔産省⽣産局「施設園芸 省エネルギー⽣産管理マニュアルhttps://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/ondanka/attach/pdf/index-112.pdf)


温室内の空気の循環に使用します。換気窓が閉まっている場合、温室内は無風の状態になるため温度のむらができます。外壁や屋根面に近い部分の温度が高くなり、中心部や下部の温度が低くなります。循環扇を使って温室内に空気の流れを作ることにより室内の温度分布を一定にすることができます。


 電動によって開閉をするものは電気工事と制御盤が必要になります。制御盤を設置すればタイマースイッチによって換気装置を自動制御したり、温度センサーによって室温を読み取って自動で換気装置を作動させたりできます。



■カーテン設備

 温室の内部・外部に設けるフィルムカーテンです。遮光(採光)や遮熱、保温を目的に使用されます。使用するフィルムによって得られる効果が異なるため、作物に合わせたフィルムカーテンを活用することで植物の生産性や労働者の作業性を向上させることができます。


□天井スライドカーテン

(引用:株式会社大仙「温室設備カタログ」https://www.daisen.co.jp/catalog/greenhouse/setsubi.html#page/6)


天井面に張る内張りカーテンです。遮光カーテンを使用すれば温室内を暗くすることができ、遮熱カーテンを使用すれば温室内を涼しくすることができます。冬季に保温カーテンを使用すれば室内の温度が外に逃げにくくなります。原動機でワイヤーを引っ張ることでカーテンを自動開閉します。日射センサー・温度センサーと連動させることにより、天候に合わせて自動制御をすることも可能です。



□天井二軸二層カーテン

天井カーテンを上下2段に設置しするスライドカーテンです。2台の原動機で上層と下層のカーテンをそれぞれ個別に操作できるため、異なる2種類のカーテンフィルムを使用すれば必要なカーテンを選択的に操作することができます。また2層の間には空気層ができるため、冬季の暖房効率を高めることができます。



□サイドカーテン

側壁面にも内張りの保温カーテンを設置することで更に保温効果を高めることができます。人や物の出入りがない部分は固定カーテンとし、通路部分は手動のスライドカーテンとする場合が多いです。換気窓に干渉する側壁には開閉ができるサイドカーテンを設置します。サイドカーテンは手動で巻き上げるものと電動で自動巻き上げのものがあります。



□外部遮光カーテン

屋根面の上部で遮光をするカーテンです。屋根面にアルミ型材で架台を組みワイヤーで引っ張ることにより開閉します。遮光フィルムを使用して温室内への日射量・日射時間の制御のために使用します。


 電動によって開閉をするものは電気工事と制御盤が必要になります。制御盤を設置すればタイマースイッチによって換気装置を自動制御したり、温度センサーによって室温を読み取って自動で換気装置を作動させたりできます。



■暖房設備

 主に冬季に温室内の室温を温かく保つために温室暖房を使用します。


□温水暖房

ボイラーでつくった温水を温室内に設置した放熱管(エロフィンチューブ)の中に流し循環させることによって室内を温める暖房方式です。ボイラーを動かす熱源は重油やガスを使用することが多いです。



□温風暖房

(引用:農林⽔産省⽣産局「施設園芸 省エネルギー⽣産管理マニュアルhttps://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/ondanka/attach/pdf/index-112.pdf)


空気を直接温めた温風をつくり室内を温める暖房方式です。暖房機でつくられた温風はポリフィルムでつくられたダクトを通り温室内に行きわたります。暖房機の熱源は重油やガスを使用することが多いです。



□ヒートポンプ温風暖房

(引用:農林⽔産省⽣産局「施設園芸 省エネルギー⽣産管理マニュアルhttps://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/ondanka/attach/pdf/index-112.pdf)

 

熱源に燃料を使わず電気を使用する電気ヒートポンプ式の暖房方式も採用されています。省エネルギー性が高く運転経費が安いヒートポンプですが、ヒートポンプ単独で暖房をまかなえる規模の暖房機は高額になるため温風暖房と併用して使用するハイブリッド運転が主流となっています。またヒートポンプにはエアコンのように暖房のみでなく冷房や除湿の機能があるため夏季にも活用できる機器もあります。




■潅水設備・細霧設備

□潅水設備

(引用:株式会社大仙「温室設備カタログ」https://www.daisen.co.jp/catalog/greenhouse/setsubi.html#page/6)


作物への潅水をおこなうための設備です。面積の大きい温室では人力の水やりでは間に合いません。潅水チューブを温室内に行きわたらせ、ポンプで水を送り潅水をします。制御盤を設ければタイマー制御や、日射量に合わせた潅水量を自動制御することもできます。



□液肥混入器

潅水する水に液体肥料を混入させるための装置です。液肥を水源のタンク内で溶かしたものを送水するのであれば必要ありませんが、送水時に自動で液肥混入水を作って潅水をしたい場合に使用します。混入方式は製品によって様々ですが水が流れる送水管に液肥が注入されて混入水をつくります。代表的なドサトロン方式では流れる水の水圧を利用してピストンを動かし、設定した倍率になるように液肥を吸い上げて送水管に混入します。水圧を利用して作動するため電気を必要としないのが大きな特徴です。



□細霧設備

(引用:株式会社大仙「温室設備カタログ」https://www.daisen.co.jp/catalog/greenhouse/setsubi.html#page/6)


ポンプで水を圧送し温室内の上部に通したチューブのノズルから微細な霧状に噴き出す装置です。細霧が気化するときの気化冷却によって温室内の温度を低下させる細霧冷房として使用します。ヒートアイランド現象の緩和や熱中症対策として農業以外の分野でも活用されている設備です。冷房・加湿の他にも自動農薬散布など防除機能を持たせた製品もあります。



■複合環境制御設備

 各温室用設備はそれぞれの設備の制御盤で操作・自動制御をすることができますが、日射・降雨・温度・風速センサーと複合環境制御装置を設けることにより、各機器を複合的に制御することができます。


 例えば、温室の室温が上がり過ぎたとき、まず遮光カーテンを閉めます。それでも室温が下がらない場合に換気窓を開放します。それでも不十分な際には換気扇を作動させて換気を行います。しかしながら雨天時や強風時で窓の開閉や外部カーテンの使用が不可能な場合は換気扇による換気を優先して実行する。といった具合で、各センサーと連動し温室機器をコントロールし最適な方法で設備を使用することができます。



以上が温室に必要な設備です。



お客様によって、温室の構成も変わります。

工法や金額等の相談も含めて、お気軽にご相談頂ければと存じます。




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